こんにちわ。助手の一人、山本です。
稽古もそろそろ佳境に入りつつあります。稽古終盤でもあって、俳優の皆さんの台詞のプロンプ(台詞を忘れてしまった時に教える役目)を入れなければならない場面も少なくなり、少しづつですが稽古を落ち着いて見られるようになってきました。
家に帰宅し、宮沢さんのダメ出しをまとめて翌日の稽古するべき箇所をピックアップする作業などをしているのですが、宮沢さんのダメ出しは多岐にわたっています。
例えば、宮沢さんは俳優の「たくらみ」や、「ミスをこっそり隠そうとした動作」といった事をよく見抜きます。
「この『ああ』というセリフは、何か企んでいたね」とか「今、一度見ちゃったけど見なかった事にしてもう一度見たね」「ここは焦っていて、変な顔になっている」など、呆然と見ていたら気がつかれないような事にツッコミを入れて行くのです。
僕もお芝居の演出をする事もあるのですが、演出は見なきゃいけないところがとにかく多いのです。宮沢さんは、そうした多くの見なきゃいけない点に加えて、表に現れにくい「俳優の心理」のようなものも、シッカリ見ているのだな、と気づかされます。
前に宮沢さんに、演出家として必要な事は何か、という話を伺った事があります。その時言われたのは、「俳優に信頼される事だ」と。
俳優の心理まで、しっかりと見ている。とにかく「見ている」という事が、信頼に繋がるのではないか、と、今日はぼんやりと思ったりした次第です。
(3月11日.山本)